はじめに

海外旅行に出るなら、慣れない土地で「何があっても安心」……に、しておきたいもの。

とはいえ、通常の保険に入ろうとすると手続きやら何やらが発生します。
そんなときに助かるのがクレジットカードの保険です。
海外旅行保険つきのカードはたくさんありますね。
それに1枚も手元になくても、申込みに時間や手間がかからないものも増えています。

そんな海外旅行保険つきクレカについて、種類や使い方の常識を書き出してみました。

 注意
カードの海外旅行保険の補償内容は以下の5通りが原則です
(病気や怪我のときばかりがイメージされますが……持ち物の盗難や破損もわりと多いです)。

☆死亡・後遺障害
亡くなった場合および、後遺症が残るほど健康を害した場合

☆傷病治療
負傷・あるいは疾患のために診療を受けた場合

☆賠償責任
第三者へ(持ち物含む)被害を与えてしまった場合

☆救援者費用
入院や遭難ほか、身内が(高額の移動費を支払ってでも)かけつける必要が生じた場合

☆携行品損害
持ち物が盗難や汚損の被害に遭った場合

クレジットカードの海外旅行保険の種類

海外旅行保険つきのクレカを分類するとしたら、どうなるでしょうか? 

今ではどんな系列のカードにも旅行保険は用意されています。
当然、カード会社によってサービスに多少の違いはありますが、
カードの系列等で決定的な違いがあるというわけではありません。
ただし、「一般カード」と「ゴールドカード(orさらに上のグレードのカード)」で、補償金額等の格差はあります。

 ヒント
保険の適用条件(「自動付帯」か「利用付帯」か)で分類する手もあります。

☆自動付帯とは? 

旅行中にカードをただ携帯しているだけで、保険の適用をすぐに受けることができます。

☆利用付帯とは?
 
カードを使わないと保険の適用を受けられません! 
何らかの旅費(Ex.渡航費や宿泊費)をそのカードで最低1回は決済しないと、保険が有効になりません。
この手のカードを持っていくときは、早い段階で使っておくことを自分に言い聞かせないといけません
(旅費等を前払いするなら、そのときに使えばOKということが多いです。
もしそれができなくても、「自宅を出てから」が、「海外旅行の開始」とみなされることが大半です、
つまり自宅を出てから空港までに、どこかに立ち寄ってカードを使うだけでもOKになる例もあります。
このほか、「旅行中に(指定された方法で)支払等に使えば、その時点からOK」となる例もあります。
詳細は各カード会社に問い合わせましょう)。

それでは、ノーマルなカードとゴールドカードでそれぞれ、
評価の高い保険がつくカードを数枚ピックアップしましょう。

ノーマルなカード編

 オリコカードiB

☆年会費
初年度無料、翌年度以降1250円+消費税(年1度の買い物で無料に)

☆付帯条件
自動付帯

☆死亡・後遺障害
2000万円

☆傷病治療
200万円

☆賠償責任
2000万円

☆救援者費用
200万円

☆携行品損害

20万円

☆キャッシュレス診療
なし

 エポスカード

☆年会費
永年無料

☆付帯条件
自動付帯

☆死亡・後遺障害
500万円

☆傷病治療
(傷害)200万円(疾病)270万円

☆賠償責任
2000万円

☆救援者費用
100万円

☆携行品損害
20万円

☆キャッシュレス診療
あり

 KCカード

☆年会費
2000円+消費税(会員専用サイトに登録するだけで無料に)

☆付帯条件
自動付帯

☆死亡・後遺障害
2000万円

☆傷病治療
200万円

☆賠償責任
2000万円

☆救援者費用
200万円

☆携行品損害
20万円

☆キャッシュレス診療
あり

ゴールドカード編

 三井住友VISAゴールドカード

☆年会費
初年度無料、翌年度10000円+消費税(条件しだいで4000円まで低下)

☆付帯条件
死亡・後遺障害(詳細は下記参照)以外は自動付帯

☆死亡・後遺障害
自動付帯枠は1000万円、利用付帯枠は4000万円で計5000万円

☆傷病治療
300万円

☆賠償責任
5000万円

☆救援者費用
500万円

☆携行品損害
50万円

☆キャッシュレス診療
あり

 MUFGカード ゴールド

☆年会費
初年度無料、翌年度2000円(条件しだいで優遇あり)

☆付帯条件
自動付帯

☆死亡・後遺障害
2000万円

☆傷病治療
200万円

☆賠償責任
2000万円

☆救援者費用
200万円

☆携行品損害
20万円

☆キャッシュレス診療
なし

 JCBゴールドカード

☆年会費
10000円(オンラインから申し込むと初年度無料)

☆付帯条件
死亡・後遺障害(詳細は下記参照)以外は自動付帯

☆死亡・後遺障害
自動付帯枠は5000万円、利用付帯枠も5000万円で計1億円

☆傷病治療
300万円

☆賠償責任
1億円

☆救援者費用
400万円

☆携行品損害
50万円

☆キャッシュレス診療
あり

使い方

1 カード会社のサポート機関へ電話

最寄りに、そのカードが有効な病院があれば、それを紹介してくれる可能性があります。
また、何を病院で受け取ってくる必要があるのか、指示してもらえます。

2 現地の医療機関にて診察・治療

医療費を請求されるため、仮払いを行います(カード決済を行うことも多いです)。
キャッシュレス診療(注)が可能な病院を紹介されることもあります。

 ヒント
クレジットカードの旅行保険で勘違いされやすいのが、補償金額です。
カードのパンフレットにはよく、「最高で×千万円」と書いてあります。
しかしここで誤解してはいけないのは、「どんなときにいくらもらえるのか」。

「最高の金額」は「死亡時の金額」であることが大半です。
しかし単なる傷病の場合は、だいぶ安くなることが普通です。

病気・怪我の時の補償額が最高で、「100万円」「200万円」くらいあれば大丈夫そう……に見えるでしょうか? 

ですが、海外関係のニュースを思い出してみましょう! 
アメリカ合衆国のように、病院での費用が日本とは比べ物にならないほどかかるケース
(何百万円~、すごいときには1000万円近く!)もあります。
つまり、カードの補償額を超えてしまうこともあり得ます。

万事を期すなら、カードを複数持つことです。
傷病の治療を受けるときに、各カード会社から受け取れる金額を合計して
間に合わせる方法を模索することは、海外旅行のベテランがよく使用している手です。

※カードの補償額を合わせられないこともありますが……
 それは、特別の場合(死亡の際や後遺障害の際)がほとんどです。

3 帰国

診断書や領収証は大事に持ち帰りましょう。

4 カード会社へ連絡

負担した治療費について、保険金の請求手続きを行います。

 (注)
キャッシュレス診療とは? 

これは、名前にもあるように持ち合わせがなくても現地の病院で診察を受けられるサービスです
(万一のときには非常に助かります!)。できればこのサービスが付いてくるほうがいいでしょう。

ただし、このサービスが用意されている場合でも、「すべての国のすべての病院で有効」なんてわけにはいきません。
できれば、予定している旅行先でこのサービスがどれくらい使えそうか、確認しておくとよいでしょう。
また、完全に無料になるとは限らず、一部の費用を自己負担して帰国後に精算することになるケースもある模様です。

 ヒント
期限について補足します。

カードの海外旅行用保険はほとんどの場合、期限があり、
しかも「90日が限度」となっていることが大半です
(上で紹介したカードはいずれも最大で90日補償となっています)。

したがって3ヶ月を超える、かなり長期の滞在となる場合は、
・カードではない保険を使う
または、
・カードの期限を組み合わせる方法(「利用付帯」のカードの場合、
 旅行中に使うことでその時点から保険が有効になるようにできる例もある模様)を使う
といった方法に目を向けたほうがベターです。

参考:海外・国内旅行保険が付帯のクレジットカード

まとめ

海外旅行保険つきのクレジットカードも、似ているようでありながら、
よく見るとどこかが違っているもの。

年会費を払わず安く間に合わせたいなら
オリコカードiBやエポスカード、KCカードの発行を受ける(セットで持っていくという手もあります)のもよいでしょうし
奮発してゴールドカードを使うことにしたい(保険のほかの特典も一気につかみたい)なら
JCBゴールドや三井住友VISAゴールドを選ぶのもよいでしょう。
比較的年会費が安いゴールドカードがほしいなら、MUFGゴールドカードにするという手もあります。

海外旅行保険つきのクレジットカードも、2枚以上持つとそれぞれの管理がたいへんかもしれませんが、
旅行を確実に安心して楽しめるようにするには、手間を省かずに
それぞれのカードの補償内容をはじめ、持ち味を1枚1枚把握して、
うまいこと使いこなせるようにするのがいちばんではないでしょうか。

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